化学実験の自動化

ロボットとAIが実験を回す——自律実験(クローズドループ最適化)の考え方と、世界の動向、そして橋本研の取り組みを紹介します。

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自律実験とは

研究室の実験——試薬の調製、サンプルの合成、物性の測定——の多くは、いまも研究者の手作業に頼っています。自律実験が目指すのは、単なる作業の自動化ではありません。

その本質は、実験 → 測定 → AIによる解析 → 次の実験条件の提案 → 再び実験 という循環を機械が自律的に回す「閉ループ最適化(クローズドループ最適化)」にあります。これにより、マテリアルズ・インフォマティクスに必要な大規模データを効率よく取得し、最良の条件へ少ない試行で到達できます。

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世界の動向

AIやロボット技術の発展に伴い、材料実験の自動・自律化に関する研究が進んでいます。2020年、B. Burger らが Nature 誌に報告した「A mobile robotic chemist」は、8日間にわたって688の実験を自律的に実施し、大きな注目を集めました。同様の研究報告がその後も相次ぎ、いまや材料科学の重要な研究テーマの一つとなっています。

B. Burger et al., “A mobile robotic chemist,” Nature 583, 237 (2020).

ほかにも、Lawrence Berkeley国立研究所の A-Lab、産業技術総合研究所のロボット「まほろ」、材料探索を統合する NIMS-OS など、世界中で自律実験の開発が進んでいます。

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私たちの研究

私たちの研究グループも、市販のロボットアームと電動ピペットを組み合わせた自動溶媒混合装置を開発し、研究効率の飛躍的向上を目指した研究開発を進めています。

一例として、MOF(金属有機構造体)の一種である ZIF-8 の自動合成において、合成パラメータ(試薬濃度・分注量・混合速度など)から粒径を予測する機械学習モデル(CatBoost)を構築し、SHAP解析により粒径を支配する因子を特定。狙った粒径の粒子を高精度に合成できることを示しました。